遺言書は作成して終わりということではありません。相続の際にその内容が実現されてこそ意味があるのです。

遺言者が苦労して遺言書を書いても、相続のときに遺言書が原因で相続争いが起こってしまっては意味がありません。

遺言書を作成するときには法律の要件だけ気にするのではなく、それぞれの相続人がどのように遺言書を受け入れるか、どのように手続きを進めてくれるのか、そのあたりも考えておく必要があります。

遺言書を書いたが、やはり内容を変更したい、あるいは撤回したいという場合には、単純に新しく遺言を書き直すことができます。

遺言書は、何度でも作成することができますので、気負う必要はありません。遺言書を作成してから年月が経てば、自分を取り巻く事情が変わっていくこともありますし、気持ちが変わっていくこともあります。

遺言書は、遺言書の種類を問わず、一番新しい日付の遺言書が有効とみなされます。例えば、公正証書遺言書と自筆証書遺言書があって、自筆証書遺言書の方が、日付が新しい場合には、自筆証書遺言書の方が有効となります。

作成にあたって

  • 自分の戸籍を出生のときまで遡って取得し推定相続人を確認すること
    自分が死亡したときに誰と誰が相続人になるのか、戸籍類を取って確認したうえで遺言内容を考えましょう。
  • 現在の財産を調査して財産目録を作成すること
    相続財産は相続のときに相続人が調べますが、特に負債(借金やローン、連帯保証人になっている借金など)は、調べても全てを把握することが難しいものです。
    遺言書を書く前に自分の財産状況を把握するために、そして相続のときに相続人が苦労しないためにも財産目録を作成することをお勧めします。

  • 相続人の遺留分には十分配慮すること
    複数人の相続人がいて、特定の相続人に全ての財産を相続させたり、第三者に対して多くの財産を相続させたりすると、遺留分が問題になることがあります。あとでもめることがないように、遺留分には十分配慮しましょう。
    ただし、相続人が兄弟姉妹になる場合、兄弟姉妹に遺留分は認められていませんので、遺言書で「○○に全て財産を相続させる」と書いておけば、全ての財産を特定の人に相続させることができます。

  • 相続財産は詳細まで正確に書くこと
    遺言書は不動産の名義変更や銀行口座の名義変更の際にも添付書類として使用します。そのため、誰が見てもどの財産のことを指しているのかが明確でなければなりません。
    不動産の場合は、登記簿謄本記載のとおりに書きます。
    ①土地:所在・地番・地目・地積
    ②建物:所在・家屋番号・種類・構造・床面積

  • 「○○に全財産の3分の1を相続させる」といった書き方には注意
    このような書き方ではプラスの財産だけでなく、マイナスの財産(債務)も相続します。
    面倒でも「○○にA銀行B支店法定後見制度定期預金123456の預貯金を相続させる」といったように、相続させる財産を具体的に指定します。
    なお、遺言により債務の承継について指定した場合でも、債権者との関係では、その指定に拘束力はなく、債権者は法定相続分に従い請求することができますので、注意が必要です。

  • 内容によっては遺言執行者を指定しておくこと
    遺言書は書いたら終わりではなく、相続の際にその内容が実現されてこそ意味があります。
    遺言執行者を指定しておけば執行者がその手続きを行うので、相続人の負担を減らすことができます。
    遺言執行者は、手続きに慣れた行政書士などの法律専門職にしておくことをお勧めします。

  • 意志能力に疑問がある人は医師の診断書などを添付すること
    遺言書を作成するときは、遺言者に意志能力がなければなりません。
    意志能力の有無は、相続のときに争いになる原因の一つで、争いになってしまうと証明が難しく長期化してしまうこともあります。
    認知症の診断を受けている人や法定後見制度を利用している人は診断書を添付するようにしてください。

  • 遺言書とは別に手紙を書いておくこと
    遺言者がどのように考えて遺言書を書いたのか、遺言書だけでは全てを伝えきるのは難しいものです。そこで遺言書とは別にその想いを手紙にして遺しておきます。
    遺言書だけでは納得できない相続人でも、遺言者の想いを知ることで納得する可能性があります。
    これを「付言事項」として、法的効力はありませんが、法定遺言事項の末尾に記載することもできます。
    特に、自筆証書遺言書保管制度を活用する場合や、公正証書遺言書を作成する場合には、その旨を記載しておくことをお勧めします。

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