被相続人から相続などによって「財産を取得した人それぞれの課税価格」の合計額が、「遺産にかかる基礎控除額」を超える場合に、その財産を取得した人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の住所地を所轄する税務署に相続税の申告と納税をする必要があります。(相続税法第27条第1項)
国税庁HP:相続税こちら
国税庁HP:贈与税こちら
国税庁HP:申告・申請・届出等、用紙(手続の案内・様式)こちら
相続税額の計算
相続税額の計算には、これまで進めてきた相続人・相続財産の確定情報などを使用します。
相続又は遺贈によって取得した財産の価格は、原則として財産取得時の時価により評価することとされています。(相続税法第22条)
国税庁HP:相続税の計算こちら
1.課税価格の算出
次の計算式により相続人ごとの課税価格を算出します。
- 各人の課税価格(千円未満切り捨て) = (※1)相続税の課税対象となる財産の額 - (※2)被相続人の債務・葬式費用の額
(※1)課税対象財産の額
1 被相続人の遺産 国内外の土地・建物・株式などの有価証券・預貯金・現金・その他金銭に見積もることができる財産の価格
(主な財産の評価方法)
・宅地の価格
①路線価方式(路線価が定められている地域の評価方法)
路線価をその宅地の形状等に応じた調整率で補正した後、その宅地の面積を掛けて計算
②倍率方式(路線価が定められていない地域の評価方法)
その宅地の固定資産評価額(市町村役場で確認)に一定の倍率を掛けて計算
・建物
固定資産評価額(市町村役場で確認)により評価
・国税庁HP:相続財産や贈与財産の評価こちら
・国税庁HP:路線価図・評価倍率表こちら
2 みなし相続財産 被相続人の死亡に伴い支払われる「生命保険金(被相続人が負担した保険料に対応する部分に限る)」・「退職金(被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものに限る)」
ただし、「生命保険金」・「退職金」の区分ごとに、次の計算式によって算出された金額以内の場合は非課税となります。
・500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
非課税限度額を超えている場合の各人の課税金額
・その相続人が取得した金額の合計額 - 非課税限度額 × その相続人が取得した金額の合計額 ÷ 相続人全員が取得した金額の合計額
3 被相続人から取得した相続時精算課税適用財産 被相続人から生前贈与を受け、贈与税の申告の際に相続時精算課税を適用していた場合の贈与時の財産の価格
4 被相続人から相続開始前3年以内に取得した暦年課税適用財産 上記を除く、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた場合の贈与時の財産の価格
(※2)被相続人の債務・葬式費用の額
1 債務 借入金債務、買掛金債務、損害賠償金等、税金・罰金等の負債の額
2 葬式費用 ・被相続人の葬式に際して相続人が負担した葬式費用(お寺・葬儀社・タクシー会社などへの支払、お通夜に要した費用など)
・ただし、墓地や墓碑などの購入費用、香典返しの費用や法要に要した費用などは含まれないので注意が必要です。
2.課税遺産総額の算出
相続人ごとの課税価格の合計額から、相続税にかかる「基礎控除額」を差し引いた額が「課税遺産総額」です。
- 課税遺産総額 = 課税価格の合計額 - (※1)基礎控除額
- (※1)基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × (※2)法定相続人の数
(平成27年1月1日以降適用)
(※1)平成26年12月31日以前に相続が開始した場合の基礎控除額
基礎控除額 = 5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数
(※2)法定相続人の数は、実際に相続したかどうかにかかわらず、原則は民法上の相続人の数で計算します。
ただし、法定相続人のなかに養子がいる場合の法定相続人の数は、次のとおりとなります。
①被相続人に実子がいる場合は、養子のうち1人まで
②被相続人に実子がいない場合は、養子のうち2人まで
③相続の放棄をした人がいても、相続放棄がなかったものとして計算します。
この計算で「課税遺産総額がマイナス」になれば相続税はかかりません。
3.相続税総額の計算
課税遺産総額を法定相続分どおりに取得したものと仮定して、それに税率を適用して各法定相続人別に税額を計算し、それを合計して「相続税の総額」を算出します。
- 各相続人の仮の相続税額 = 課税遺産総額 × 各相続人の法定相続分 × 速算表の税率 - 速算表の控除額
平成27年1月1日以降適用速算表
4.負担すべき税額の計算
相続税の総額を、各人の課税価格に応じて割り振って、「各人の負担すべき税額」を算出します。
- 各人の負担すべき税額 = 相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 各人の課税価格の合計額
5.納付税額の計算
「各人の負担すべき税額」がそのまま納付税額になるわけではありません。
その税額に2割加算(相続税法第18条第1項)したり、控除(贈与税額控除(相続税法第19条第1項)、配偶者に対する相続税額の軽減(相続税法第19条の2第1項)、未成年者控除(相続税法第19条の3第1項)、障害者控除(相続税法第19条の4第1項)など)して「各人の納付税額」を算出します。
相続税の計算事例
- 課税価格の合計額 12,000万円
- 法定相続人:妻6,000万円、子2人3,000万円×2を相続
- 「配偶者に対する相続税額の軽減」適用
「配偶者に対する相続税額の軽減」とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、1億6千万円、又は法定相続分相当額のどちらか多い金額までは、相続税はかからないという制度です。
1.課税遺産総額
12,000万円 - 基礎控除額(3,000万円+600万円×3) = 7,200万円
2.相続税総額(①+②×2)
妻①:7,200万円 × 1/2 = 3,600万円
→ 3,600万円 × 速算表(20%-200万円) = 520万円
子②:7,200万円 × 1/4 = 1,800万円
→ 1,800万円 × 速算表(15%- 50万円) = 220万円
520万円 + 220万円 × 2 = 940万円
3.負担すべき税額
妻:940万円 × 1/2 = 470万円
子:940万円 × 1/4 = 235万円 × 2
4.納付税額
妻:940万円 × 1/2 = 470万円
→ ※配偶者に対する相続税額の軽減適用 470万円 - 940万円 × 1/2 = 0(納付すべき相続税額なし)
子:940万円 × 1/4 = 235万円 × 2
《参考》相続において考慮すべきことこちら
配偶者居住権の財産的評価方法こちら
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